あやかし学校
危ないから逃げろ!


そう言いたかったけれど、喉を押さえつけられているかのように声も出ない。


「大丈夫?」


地べたにうずくまっている僕を心配して金子が手をのばす。


その手が方に触れた瞬間、呼吸が楽になった。


全身から力が抜けるように動き出し、そのまま仰向けになって倒れ込む。


「き、金子ちゃん……」


「もう大丈夫だから。そこで寝ていて」


金子はそう言うと銀太と共に助けている少女へと向き直った。


その子は人間じゃない!


危ないんだ!


そう叫びたかったけれど、今は呼吸をすることで精一杯だった。


水中でずっと息を止めていたような感覚だ。


その間に二人は躊躇することなく少女の前に立ち、銀太はカバンにつけていた瓢箪型のストラップを取り外していた。


この状況で一体なにを?


眉を寄せた次の瞬間、小さかったひょうたんが魔法のように大きくなったのを見た。


「え……?」
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