あやかし学校
思わず何度もまばたきをして目の前の光景を確認する。


銀太は小脇に抱えられるくらいの大きさになったひょうたんを、少女へと向けている。


「座敷わらしさん!」


ふたりが同時に呼んだ瞬間、少女の体がひょうたんに引きずられるように動き出した。


「あああ!」


少女が口から苦痛の声を漏らす。


必死で抗おうとしているが、ひょうたんの力の方が強いようで、少女の体はあっという間に吸い込まれていってしまった。


銀太はすぐにひょうたんの口にコルクの栓をする。


「い、今のは……」


どうにか立ち上がり、ふたりへ向けて聞く。


「今のは座敷わらしよ。悪さはしないけれど、ここがまだお屋敷だと思いこんでたみたいね」


「座敷わらし……」


その名称はもちろん知っていた。


日本では有名な妖怪で、古い建物などに住み着いていて、家を豊かにすると言われている。


逆に、座敷わらしが出て言ってしまった家は破産してしまうという噂もある。


「座敷わらしが、どうして部室棟に?」


「さっき金子が説明しただろ? ここをお屋敷だと思ってたんだ。きっと、大昔ここに立派な家が立っていたはずだ」
< 32 / 134 >

この作品をシェア

pagetop