あやかし学校
☆☆☆

目の前に懐かしい光景が広がっていた。


六畳の畳の部屋の真ん中にはおおきなコタツがあって、そこに足を突っ込んで座っている。


「浩司ちゃん、ミカン食べる?」


僕の向かい側に座っていた祖母が僕にミカンを差し出してくれる。


「食べる!」


手を伸ばして受け取ったミカンは小学生だった僕の手と同じくらいの大きさで、とても小さかった。


「午後には雪も止むだろうから、外で遊んでもいいよ」


祖父の言葉に目を輝かせた。


昨日の晩から降り続いている雪は随分と積もり、今は僕の足をすっぽりと隠してしまうくらいになっているみたいだ。


何度も窓から確認したから間違いない。


祖父母が暮らしているところでは雪の量が多いと聞いていたから、それを楽しみに冬休みを満喫しにやってきたのだ。


ただし、雪遊びをするにはいくつかの条件があった。


暖かくして外出すること。


建物の近くでは遊ばないこと。
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