あやかし学校
道路を歩くときは、雪が溝に埋もれていることがあるから気をつけること。


雪は単純に冷たくて綺麗で楽しいものだと思っていたので、この注意を聞いたときに危険なこともあるのだと、初めて知った。


なんでも、屋根から雪が落下して下敷きになると、命を落としてしまうこともあるらしい。


さすがにそれは嫌なので、僕は近所の広場まで出て遊ぶことを祖父母と約束した。


祖父が言っていた通り午後からは雪がやみ、僕は外へ飛び出した。


飛び出した瞬間顔に冷たい風があたって目を細める。


それでも気持ちがいいと感じられる程度には日がさしていた。


「行ってくる!」


僕は祖父母の言いつけを守って溝に注意しながらザクザクと雪を踏んで歩き出した。


足元に伝わってくるギシギシとした雪の感触と、一面の銀世界に自然と笑顔が浮かんでくる。


除雪車が通る前の道はとても綺麗でどこを見回してみても誰の足跡もついていなかった。


そうしてたどり着いた広場で僕はすぐに大きな雪だるまを作り始めた。


広場にも一番乗りをした僕は雪を使い放題だったのだ。


祖父母が驚くような大きなものを作りたくて、時間も忘れて雪玉を転がした。


もっと大きく。
< 38 / 134 >

この作品をシェア

pagetop