あやかし学校
☆☆☆

ハッと息を飲んで目を覚ました。


ベッドの上に座ってしばらくぼーっと白い壁を見つめて、まるで雪みたいだなぁと考える。


「あれ？　なんの夢を見てたんだっけ？」


とても懐かしい夢を見ていたような気がする。


途中まではとても幸せな夢で、もっとずっと見ていたかった。


だけど途中から少し変わって、夢の中で僕はすごく焦ったんだ。


感情の動きを思い出すことはできるけれど、肝心の内容を思い出すことはできなかった。


少しモヤモヤとした気分を残しながら、いつも通りご飯を食べて家を出た。


「おはよう！　昨日はピアノの練習できたの？」


校門をくぐる直前に声をかけられて振り向くと、元気いっぱいの佳苗の笑顔があった。


「うん、まぁね」


昨日のことを思い出すととたんに気分が滅入ってくる。


昨日のことは忘れた方がいいと思っていたところだったのに。


「どうしたの？　今日も元気がないよね？」


「朝は弱いんだ」


これから学校で幽霊に絡みつかれるのかと思うと、誰でも気が滅入ると思う。


特に、昨日の今日だし。
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