あやかし学校
僕はこれでも本気で悩んでいるんだけれど。


「そのひょうたんを持っているからとか?」


机の横にひっかけてあるカバンへ視線を向けてそう言った。


そこにはひょうたんのストラップがぶら下がっている。


「こ、これは俺の大切なものだから」


「そうだよ。これは銀太の大切なものなの」


ふたりして必死にひょうたんを守ろうとしている。


昨日ひょうたんに吸い込まれていった座敷わらしはどうなったんだろう?


と、また別の疑問が浮かんできた。


「とにかく、ふたりは僕とは違うってことか」


それだけはしっかりと理解できた。


ふたりは僕みたいに幽霊に困ることもないんだろう。


ふたりは目を見交わせて、なにかいいたそうな表情を浮かべる。


しかし結局「この学校はたしかに怪異が多いから。なにかあったら私達に言ってね」と、言われて核たる部分に触れることはできなかったのだった。
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