あやかし学校
☆☆☆
今回は本当にただの噂に過ぎなさそうだな。
美術室に入ったときも寒気とか感じなかったし。
漫画を一冊読み終えた僕は大きく伸びをして窓の外を見つめた。
あれから30分ほどが経過していて、太陽は傾き始めている。
祐太郎の絵はどのくらい進んだだろうかと立ち上がったとき、不意に筆を動かすような音が聞こえてきて動きを止めた。
祐太郎がカンバスから視線を上げて、目があった。
祐太郎の右手にはネリケシが握られていて絵の具は出されていない。
石膏像の絵に色はまだついていない状態だ。
だとすると……。
「今の音って……」
そう言った瞬間、また筆が紙を撫でる音が部室内に響いた。
ふたりしてビクリと肩をすくめて視線は自然と問題のカンバスへと向かう。
それは元あった位置に戻り、壁と棚の隙間にすっぽりはさまっている。
あの状態で絵が描き足されるなんてありえない。
人間が入って筆を使うスペースなんてないんだから。
今回は本当にただの噂に過ぎなさそうだな。
美術室に入ったときも寒気とか感じなかったし。
漫画を一冊読み終えた僕は大きく伸びをして窓の外を見つめた。
あれから30分ほどが経過していて、太陽は傾き始めている。
祐太郎の絵はどのくらい進んだだろうかと立ち上がったとき、不意に筆を動かすような音が聞こえてきて動きを止めた。
祐太郎がカンバスから視線を上げて、目があった。
祐太郎の右手にはネリケシが握られていて絵の具は出されていない。
石膏像の絵に色はまだついていない状態だ。
だとすると……。
「今の音って……」
そう言った瞬間、また筆が紙を撫でる音が部室内に響いた。
ふたりしてビクリと肩をすくめて視線は自然と問題のカンバスへと向かう。
それは元あった位置に戻り、壁と棚の隙間にすっぽりはさまっている。
あの状態で絵が描き足されるなんてありえない。
人間が入って筆を使うスペースなんてないんだから。