あやかし学校
「い、今のは?」


「今のはカンバスの霊体みたいなもの。人間と同じで、物にも入れ物と心があるって思ってくれればいい」


説明しながら銀太はひょうたんに蓋をした。


終わった……。


フッと体を包んでいた金縛りが解けて、思わずその場に座り込んでしまった。


冷気もいつの間にか消えている。


残されたカンバスには白い雲も建物の陰影もなく、石田彩花先輩が最後に描いた状態で転がっていたのだった。


「これでひょうたんの中に居ても絵をかくことができる」


銀太の言葉に僕はひらすら首をかしげるばかりだ。


ともあれ、これで二度もこの双子に助けてもらったことになる。


最も、さっきの幽霊に害があるようには視えなかったけれど。


「あ、ありがとう」


僕はそう伝えるので精一杯だったのだった。

< 57 / 134 >

この作品をシェア

pagetop