あやかし学校
☆☆☆

「昨日はごめん!」


登校するやいなや教室の前の廊下で祐太郎が駆け寄ってきて頭を下げた。


「大丈夫だよ。あんなことがあったら誰でも逃げ出したくなるし」


夢のことばかり気にしていて一瞬なんのことか忘れていた僕はすぐに笑顔を作った。


顔の前で手を振って大丈夫だと伝える。


「で、でも、俺1人で逃げちゃったし……」


「大丈夫だって。逃げたのは正解だよ」


自分が逃げ遅れたのは霊感が強くて金縛りにあってしまったからだとは、言わないでおいた。


余計に心配をかけるだろうから。


「それよりも、お礼を言うならあのふたりにだよ」


そう言って僕は教室内にいるふたごを見つめた。


「あの転校生の双子?」


祐太郎は肝心な部分を見ていないので首をかしげている。


「あぁ。あのふたりのおかげで怪異はもう起きないから」
< 62 / 134 >

この作品をシェア

pagetop