あやかし学校
僕は必然的にひとりで生姜焼きを作ることになったのだけれど、今の所順調だ。


時々母親の料理を手伝っているし、生姜焼きのタレは市販のものが用意されている。


これなら下手くそでもだいたい美味しく作れるはずだった。


「大丈夫だよ」


答えてフライパンの上の豚肉を確認する。


もう少しよく焼いたほうがよさそうだ。


だけどもう教室の中にはいい香りが漂ってきていた。


早く食べたくてさっきからお腹がぐーぐー鳴っている。


あぁ、早く食べたいなぁ。


そう思って肉をひっくり返そうとしたときだった。


「キャアア!!」


教室後方から聞こえてきた悲鳴に誰もが手を止めた。


そして視線を向けたとき、女子生徒に襲いかかる包丁を見た。


「な、なにあれ!?」


他の生徒が叫び声をあげ、教室内がパニックになる。
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