あやかし学校
そんな七不思議を聞いたこともある気がするけれど、名称までは知らない。


どうすればいいのかわからず焦るばかりで、背中に汗が流れていく。


これじゃひょうたんがあってもどうにもならない……!


「あの包丁……」


そんなつぶやきが聞こえてきてハッと息を飲んで振り向いた。


そこに立っていたのはさっきまで授業を教えてくれていた家庭科の先生だった。


50代の女性の先生で、飯田先生と言う。


「なにか知ってるんですか?」


青ざめて立ち尽くしている先生に質問する。


この際わかりそうなことはすべて知っておきたかった。


「昔、ここにいた生徒が使っていて、そのまま置いて行ったものなの」


先生は時折言葉をつまらせながら説明した。


なにか特別な思い出あるからかもしれない。


「その生徒について、なにか覚えていることはありますか?」


「もちろん。その子たち……3人の男子生徒たちはみんな料理人を目指していたの。


同じ学校で同学年で3人もの生徒が料理人を目指しているなんて珍しいことだと思ったから、よく覚えてる」


3人の生徒たち。


だから3本の包丁が飛び回っているんだ。
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