あやかし学校
「3人共料理部に入部して、それぞれ頑張ってたの。それなのに……その中の1人が舌癌になってね、諦めるしかなくなったの」


先生の声が苦しげなものに代わる。


料理人を目指しながらも舌癌になり、手術を余儀なくされた生徒。


その様子をずっと間近で見てきたのかもしれない。


先生の胸の苦しみがこちらにまで伝ってくるようで、苦しくなった。


「それをきっかけにして他の2人も闘争心を失ってしまってね。卒業後どうなったのか、先生も知らないの」


その言葉に最悪の自体が頭をよぎった。


良きライバルがいなくなってしまったことで夢を失ったのではないか。


失意のどん底に叩き落された3人は、死んでしまったんじゃないのか……。


目の前で怪異として出現している3人の包丁を見ると、そうとしか考えられなかった。


でも、決して先生には聞かせられない憶測だった。


「そ、その3人の生徒たちの名前を覚えていますか?」


「もちろん。忘れるわけがないわ」


僕は先生から3人の名前を聞き出したのだった。
< 70 / 134 >

この作品をシェア

pagetop