あやかし学校
☆☆☆

教室へ戻るときっとみんなパニックだろうなと思っていたが、その光景に呆然としてしまった。


みんなついさっき家庭科室で起こったことを忘れてしまったかのように自習をしているのだ。


「これ、どういうこと?」


「今回は少し大事になっちゃったから、みんなの中から記憶を消させてもらったの」


金子が申し訳無さそうに説明する。


記憶を消した?


みんなの中から?


にわかには信じられない説明だったけれど、教室内の様子を見ているとそうとしか考えられなかった。


あんな恐怖に陥ったのに、誰もなにも言わないのだ。


「勝手なことをしたと思ってるよ。でも、日常を過ごすためには必要なことなの」


必死に説明する金子に僕は何度も頷いた。


自分に納得させるためでもある。
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