あやかし学校
「もちろん、わかってるよ。だけどそんな力もあるんだと思って、びっくりして」


そう言うと、金子は僕から視線をそらしてうつむいてしまった。


普通の人間ではないと思っていたけれど、ここまでの力があるとも思っていなかった。


「怖いか、俺たちが?」


銀太が無表情にそう聞いてきた。


「そ、そんなわけじゃあ……」


慌てて否定するけれど、声が小さくて自分でもなにを言っているのかわからなくなった。


怖くないと言えば嘘になる。


怪異と同じで、ふたりからは得体の知れない匂いがしている。


人の記憶を操作するってどういうこと?


そもそもそのひょうたんってなに?


君たちは……人間なの?


「怖くても今は我慢して? このまま怪異が姿を表し続けたら、学校中がパニックになる」


「あ、あぁ。そうだよな」


でも、それに関しても疑問があった。


こうして堂々と怪異がみんなの前に姿を表しはじめたのだって、ふたごが来てからじゃないのか?


それまでは僕にはみえても、他の生徒にはみえていなかった。


質問したいことは山のようにあったけれど、どれも喉の奥に引っかかり、でてこなかったのだった。
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