あやかし学校
☆☆☆

それからは何事もなく過ぎていき、怪異もなかったものとして処理されてしまった。


ただ、家庭科の先生だけはどうして授業が途中やめになってしまったのかわからずに、混乱していた。


「まぁた疲れた顔してる」


佳苗にそう言われて僕は自分の頬に触れた。


そんなに疲れた顔をしているだろうか?


確かに、今日は疲れたけれど。


「1日が終わった疲れだろ」


適当に返事をして廊下を歩く。


放課後の喧騒の中、部室棟からブラスバンド部の演奏が聞こえてきた。


「あ、私先生にプリント渡さなきゃいけないの。先に帰ってて」


ふと思い出したように足を止める佳苗につられて足が止まった。


「僕も一緒に行くよ」


「え、いいの?」


一瞬佳苗の表情が明るくなった気がした。
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