あやかし学校
☆☆☆

佳苗とふたりで昇降口までやってきたとき、ちょうど双子が靴を履き替えているところだった。


そこで職員室前での出来事を説明すると、金子は何度も頷いた。


「さっきの怪異は生霊だったんだよ」


「生霊?」


「そう。まだ生きている人の魂が、勝手に動き出しちゃうこと」


「それって幽体離脱みたいなこと?」


金子と銀太はそろって首をかしげた。


どうやら解釈が少し違うみたいだ。


「生霊の場合は本人の思念が動いているって感じじゃないか?」


「そっか、そっちの方がわかりやすいね」


金子がうんうんと頷いている。


「思念って、思いが動き出すってことか?」


「あぁ。例えば誰かを好きだと言う気持ちが強くて、思念だけが相手のそばに行ってしまうときがある。そのとき本人は通常の日常を送っているんだ」


体も魂も離れていないのに、思いだけが動き出す。
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