あやかし学校
☆☆☆

雪の積もった地面がモコモコと動いて下にいる何かがでてこようとしている。


それに手を伸ばしたのは僕が都会育ちで、危険な動物が街中に出現することなんてめったに無いと思いこんでいたからだった。


今なら雪の下になにがいるのかわからない状態で手を伸ばすようなことはしない。


当時の僕は本当に考えなしで、雪の中から少しだけ現れた茶色い毛を見て犬だと思いこんでしまった。


その毛は太陽の光と雪の反射によって黄金色に輝いてとても綺麗で、触れてみたいと思った。


あわよくばこの犬を連れ帰って育てたいと。


「おいで」


相手を警戒させないよう、声をかけながらそっと毛に触れる。


それは少しゴワゴワとしていて玉になった雪がこびりついていた。


「こんなところでなにしてるの? 大丈夫?」


犬は答えない。


雪の重みのせいだろうか?
< 86 / 134 >

この作品をシェア

pagetop