あやかし学校
もう1度頭上を見上げてみると大木があり、枝葉の隙間から太陽光が差し込んでいる。


その時、同じ木の逆側でドサドサと音がして雪が落下した。


やっぱり、ここにも雪が落ちて犬が動けなくなったのかもしれない。


「ちょと待ってろよ。すぐに助けてやるからな」


僕は両手で雪をかき分ける。


茶色い毛がどんどん姿を見せる……。


ふと目が覚めて僕はぼんやりと天井を見上げた。


今はまだ秋。


心地よい気温に体は包まれているはずなのに、不意に寒気がして横に蹴飛ばしていた布団を引き寄せた。


ギュッと布団を抱きしめたとき、自分の両手がやけに冷たくなっていることに気がついた。


両手で頬を包み込んでみるとヒヤリと冷たい。


まるでついさっきまで雪に触れていたみたいだ。


そう言えば今日も雪の夢を見た気がする。


どんな夢だっけ?


もう思い出すことができず、僕は布団を抱きしめたまま少しだけ寂しい気持ちになったのだった。
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