あやかし学校
☆☆☆

今日は学校へ行くことがいつも以上に億劫だった。


沈んだ気分のままノロノロと歩いていると後ろから佳苗がやってきた。


「今日もまた浮かない顔してるね」


「そう言う佳苗は今日も元気だな」


やつれた気分で佳苗を見ると、佳苗は元気良く頷いた。


「今日の給食は野菜スープだもん」


「そんなことで元気になれるなんて、羨ましいよ」


大きくため息を吐き出す僕の背中を佳苗が思いっきり叩いた。


「痛っ」


思わず声が漏れてうずくまる。


佳苗が本気で力を入れると背中がジンジンとしびれるように痛くなる。


「大げさね。これでも手加減したのに」


男顔負けの力にギョッとしながらもどうにか立ち上がって歩き出す。


「小さな幸せを無下にしてるとね、幸せの大半が見えなくなっちゃうんだよ?」


それは最もなことかもしれない。


僕は少し考えてから、顔をあげた。
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