あやかし学校
「それがどうかしたのか?」


逆側から銀太が聞いてきたので、僕は大きく頷いた。


「これには金角銀角っていう妖怪もでてきた。大男で、ひょうたんを持っていて、そのひょうたんになんでも吸い込む妖怪だ!」


説明している間にどんどん声が大きくなってしまった。


肩で呼吸をしてふたりをにらみつける。


金子は青ざめてうつむいた。


その反応は自分が妖怪であることを肯定しているようなものだった。


「俺たちが妖怪だったとしたら、どうなんだよ?」


銀太が鋭い視線を向けてくる。


その目に一瞬ひるんでしまいそうになるけれど、必死に歯を食いしばった。


「そのひょうたんの中に吸い込まれたやつは、ドロドロになって溶ける。そうだろ?」


「それはなんの妄想だ? 俺と金子がお前になにをしたっていうんだ?」


そう聞かれて一瞬返事に詰まる。


ふたりは僕自身に危害を加えてはいない。


でも、今ままで害のなかった怪異たちがひょうたんの中で溶けていると思うと、やっぱり胸がざわめいた。
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