【短編】トモウタ。
誰もいない駅のプラットフォームを下り、俺は改札口を出た。


懐かしくも、少しだけ苦い風景が目の前に広がる。


「和也!」


記憶にある声より、少し低めの声。


振り返るとそこには懐かしい顔があった。

「祐輔…」

幼なじみであり、親友でもあった友人。

そして、友人は子どもを連れていた。
小さい顔に、大きな目が俺をじっと伺うように見る。

「お前にそっくりだなそのガキ、いくつになるんだ?」


「似てるかな?今年で5歳だよ」

父になった親友は、あの頃と変わらない笑顔で子どもを見つめた。

優しい、父親の顔をした友人の表情に少しだけ、なんだか羨ましくて、胸が痛んだ。


子ども、嫌いなはずなんだけどな。
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