素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 ブレンダンは歩きながらじっと不思議そうに自分の顔を見るアリスに苦笑した。

「ま、そんなことは良いよ、馬車で来てるから家まで送っていくね。それにゴトフリーの今の状況も説明する」

 それはアリスが今一番聞きたかったことだ。彼がいつどうやったら目覚めるのか、その情報が何よりも欲しかった。

「あのっ……時間が経てば起きるんですか」

「んー、そうとも言うし、そうでないとも言えるかな……あいつが吸い込んだのは、エクシャルっていう名前のいつもはあまり遭遇しない蜘蛛型の大型魔物が使う睡眠毒なんだけど、解毒剤が特殊なんだ。珍しい原料も使用するし作りたての新鮮なものでないとダメだから、今調合師に依頼してる。作成にかかる時間はその時々だと思うから、数週間か数ヶ月か……それがいつになるって言うのは、僕にもわからない。ごめんね」

 その言葉にアリスは肩を落とした。なんて長い時間を待たねばならないのだろう。目覚めたゴトフリーにすぐにでも、今すぐにでも会いたいのに。

「アリスさん、団長がすぐに手続きをしてくれるって言ってたから明日からは病室に入れると思うよ」
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