素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「別に良いよー、配属されてから今までほとんど長期休みも取ったことないでしょ。アリスくん代休も溜まってるからね、遠慮なく使ったら良いと思う。ま、何するかは知らないけど、なんか困ったことがあったら言ってきてよ」
先ほど署名した書類を差し出したサハラ室長は、慌ててそれを受け取ったアリスに笑いかけた。
「室長、ありがとうございます」
「大事な彼が大変な時に仕事していても、身が入らないからね。また出勤する日の目処がついたら連絡だけするようにねー」
アリスの求めていた物を二つとも何も聞かずに与えてくれた彼は、部下の恋愛事を面白がってからかう時があったとしても、やっぱり、仕事の出来る素敵な上司なのだ。
◇◆◇
目的としていた本は、重要書籍の部屋の、片隅に埃を被っていた。
(……あった。エクシェル……って西方の洞窟深部に生息する魔物なの? 竜騎士って洞窟の中にも魔物退治に行くんだ……)
その本は古語で書かれてはいるが、アリスは高等学院で古語の授業も受けていた。卒業して就職してから、無意味になったと思っていた知識がこんなところで役に立つなんて思いもしなかった。
先ほど署名した書類を差し出したサハラ室長は、慌ててそれを受け取ったアリスに笑いかけた。
「室長、ありがとうございます」
「大事な彼が大変な時に仕事していても、身が入らないからね。また出勤する日の目処がついたら連絡だけするようにねー」
アリスの求めていた物を二つとも何も聞かずに与えてくれた彼は、部下の恋愛事を面白がってからかう時があったとしても、やっぱり、仕事の出来る素敵な上司なのだ。
◇◆◇
目的としていた本は、重要書籍の部屋の、片隅に埃を被っていた。
(……あった。エクシェル……って西方の洞窟深部に生息する魔物なの? 竜騎士って洞窟の中にも魔物退治に行くんだ……)
その本は古語で書かれてはいるが、アリスは高等学院で古語の授業も受けていた。卒業して就職してから、無意味になったと思っていた知識がこんなところで役に立つなんて思いもしなかった。