【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
 そのエクシェルの項を読み進めていくと、危機に陥った時に噴霧する睡眠毒のことも書かれていた。その解毒剤のことについても。

(十数種の原料が要る以外には、特別な器具や特殊な加工魔法も要らなさそう……これなら原料さえ集めてしまえば何とかなるわ)

 アリスは原料の種類や配分などを書写し、ほっと息をついた。目的の情報を夢中になって探している内に、もう夕方になっていた。

 もちろんアリスは自分がプロの調合師に敵うような薬が出来るなんて思ってはいない。でも、ただ待っているより、眠っているゴトフリーのために何かしていた方は気持ちが楽だった。

「……アリス? あなたお休みじゃなかったの?」

 帰るために城の出口で偽造防止の魔法のかけられた身分証を提示していると定時に仕事を終えたのだろう、リリアが駆け寄って来た。そういえば昼ご飯は彼女と食べているから、きっといつものように計数室まで迎えに来てくれたのだと思う。ゴトフリーのことで頭がいっぱいになってしまって連絡出来ていなかった。

「ごめん、あのね、リリア。私、これから数日休むんだ。今日は図書館に居たの」
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