【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
「……ごめんね。すごく心配かけた。エンブリーっていう今年入ってきた新人が居るんだけど、竜から降りて休憩中に魔物が突然出てきたから動転したみたいで、対応を間違ったんだ。でも、そいつが責任感じたみたいで薬の原料を駆けずり回って集めてくれたんだ。だから、こうやって目覚める事が出来たんだよ」

 ゴトフリーに庇ってもらった例の後輩が手を尽くして薬の原料を手に入れたらしい。もちろん竜に騎乗出来る優秀な竜騎士だから、アリスが森で採取するより効率良く見つけてくれたのだろう。

「……間違っていたらごめん。もしかしてアリスも、俺を目覚めさせる薬の原料を集めてくれていた?」

 躊躇いながらこくんと頷いたアリスの髪を撫でると、ゴトフリーは言った。

「もうこんな事したらダメだよ。アレックと俺は心が繋がっているから、この前の事も聞いている。映像を見て肝が冷えた。もう絶対しないで欲しい」

 彼のために、と思ってしていたことだけれど、裏返してしまえば、自分がそうしたいから、していたということに気がつく。

「……でも、どうしても早く、ゴトフリーと話したくて。あなたのためにすこしでも何かしたかったの」
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