素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 うーんと考え込んだブレンダンは、自分を涙目で見つめているアリスにかけるべき言葉をなんとか探しているようだ。確かに同僚の彼女にこんなことを相談されても困ってしまうかもしれない。

 でも、どうしても、この時に解決の糸口だけでも掴みたいアリスはブレンダンを一心に見つめてしまった。

 その時、ざっと足音がして、二人ははっとして視線をあげた。

「……ゴトフリー?」

 突然現れた、金髪の彼に驚いた顔をしたアリスの手を掴んでブレンダンの隣から立ち上がらせると、険しい顔のゴトフリーは二人を交互に見つめた。

「……二人で、何話してたの」

「ああ……」

 何かを答えようとしたブレンダンの腕を慌てて掴んで、真っ赤な顔をしたアリスは言った。

「言っちゃだめ!」

 言ってからしまったと思った。彼のことだから、きっと上手く誤魔化してくれたかもしれないのに。

 でも、いくら今まですごく悩んでいたとはいえ、さっき自分が言った言葉がとても恥ずかしかった。ましてやその悩みの元に伝えられるなんて、ものすごく恥ずかしい。

「アリスさん……」
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