素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「そ? こんなので良かったらいつでも作るよ。食後のお茶も飲むよね? ここさ、結構大きい家なんだけど、俺一人暮らしだから、普段使う部屋しか掃除してなくて、今使えるのここと俺の部屋だけなんだ。ゆっくり出来るし、上に行こうか」

「うん。ゴトフリーの部屋行けるの嬉しい」

 笑って頷いたアリスに微笑んで、ゴトフリーは熱いお茶をいれたカップを持って、階段を上がり自分の部屋へと案内してくれた。

 白い壁紙に濃いブラウンの家具、カーテンの爽やかな薄い緑の色合いは、彼の竜アレックの色を思わせた。初めての彼の部屋を見てアリスは、目を輝かせる。

「……アリス」

 静かに自分を呼ぶ声がして、コトンと彼がカップを置いた音がした。彼が居る方向を振り返ろうとしたアリスは、戸惑った。

(なんで……体が動かないの……)

 ゆっくりとした足音がして、耳元で大好きな彼の声がした。

「ねえ、アリス。ブレンダンと話したこと教えてよ」

「やっ……ゴトフリー、体がっ……」

 戸惑って自分を見上げるアリスにいつもの笑顔で笑いながら、ゴトフリーは言った。

「俺ね、適性があるみたいで、拘束魔法がすごい得意なんだよね。こういう風に、何の道具も使わずに、思った部分だけ、自由を奪うことも出来る……ブレンダンと何話してたか、言いたくないなら、自分で言いたくなるようにしてあげる。今夜は覚悟して?」

 まさか、こんな風に自分が願っていた状況になるなんて、アリスはもちろん思ってもみなかった。
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