素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「ちょっと待ってね。暖炉つける」

 アリスは灯りをつけて手早くちいさな暖炉に火をつけると、玄関に突っ立ったままのゴトフリーを部屋にひとつしかないソファに座らせた。

 台所へと入り流れるように動いて、お湯を沸かしてお茶を入れると、何も言わないまま背筋を伸ばして固まっている彼の前にはいと声をかけてお茶を置いた。

 ゴトフリーの隣に座って温かいお茶を飲むと、じわじわと何か感動に近い思いが湧き上がってくるのを感じた。

(あの、ゴトフリー・マーシュが私の部屋に居て隣に座っているなんて嘘みたい)

「……アリス、さん? あのやっぱり俺今から帰るよ。君すごく酔っているし、また素面の時にその、会ってくれたら嬉しい」

 言葉を選びながらか、ゆっくりとゴトフリーは言った。困った表情をして向けられた深い紺色の誠実そうな目を見ながらアリスはまとまらない頭で理不尽な不満を感じた。
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