素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「私の気持ちは、もう決まってて……ずっとずっと前から、ゴトフリーのことしか見えてなくて……あの夜に会うまではいつも一瞬しか会えなかったけれど、会えた時はもうその日一日嬉しくて浮かれるくらいだったんだ。だからね、今こうして一緒に居るのがすごく夢みたいで、幸せすぎて、他の人を見る余裕なんて、ないんだよ」

「アリス……」

「私、これが付き合うのが初めてだからまだどうして良いか、わかってなくて、不安にさせてごめんね。あの、あのね……私ね……」

 やっぱりその言葉を言おうとすると条件反射のように口籠ってしまう。でも、ゴトフリーはそんなアリスを焦らせることも急かすこともなく、何も言わずにゆっくりと待ってくれた。

 二人で間近で見つめあって時間が止まったような永遠を感じたようなそんな不思議な空気の中、やっと震える唇が開いた。

「ゴトフリー……好き……大好きだよ……これからも一緒に居たい」

 潤んだ目で見上げたらゴトフリーはぎゅっとつよい力で抱きしめてくれた。先ほどは切実なものを感じさせた彼の不安はすこしでも和らいだだろうか。安心して体から力が抜けたアリスに彼は言った。
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