素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「すごい。ゴトフリー、隊長さんになるの?」

 目を輝かせたアリスに、ゴトフリーはくすぐったそうに笑った。

「いや、流石に隊長はまだかな。その前段階だよ……竜騎士って血の気の多いやつが多いから、俺はそんな中すこしだけ周りを見れる余裕があるってだけ。アリスはこんな難しそうな本をたくさん持って、何かの調べ物?」

 恋人のアリスに昇進することが知れて照れくさいのだろう、謙遜をした彼に頷いて、手に持っていた紙を見せた。

「そう、室長の報告書を書くお仕事を手伝っていてそれの調べ物なの。今は月中で私の仕事も落ち着いているし、たまにこういうお仕事もすることがあるんだよ」

 本棚に挟まれた通路を二人でゆっくりと歩き出して、閲覧用に用意されている大きな机に並んで座った。隣のゴトフリーが勉強道具を出して開いたのを確認すると、アリスは備え付けにされている紙とペンを取り、重ねた上から順に本を開いては室長から指示されている必要事項を書き込んでいく。

 その仕事の途中でなんとなく隣の彼が気になったアリスはそっと横を向いた。ゴトフリーは真剣な横顔で持っている本に見入っている。
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