素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
◇◆◇

「何もなくて良かったわね。アリス、もうデート中にゴトフリーさんと離れて行動するのやめたら?」

 食堂でお昼ご飯を食べながら、昨日の話を聞くとリリアは冷静にそう言った。一緒に市街に遊びに行った時に、アリスの方向音痴に泣かされたことが幾度もあるせいか、なんとも実感が篭っている。

「……もう、ほんとーに、ほんとーにカッコ良かったんだよ。ゴトフリーってなんであんなに何でも出来ちゃうんだろう」

 付き合っている彼氏のことを思い出し、浮かれて頬に両手を当ててそう言ったアリスに、ちょっと苦笑しながらリリアは言った。

「そうね。竜騎士になれるくらいだから、ある程度は何でも出来るんだろうけど……やきもち妬きの方はどうなの?」

 ああ、と言って話し出そうとしたアリスを遮るように、後ろから驚くような声がかけられた。

「ゴトフリーってやきもち妬きだから、大変でしょう。私も付き合っていた時、よく怒られたわ」

 そう言って笑った女官服を着た彼女の美しい顔を、アリスは鮮明に覚えていた。以前、彼の隣に当たり前のように座っていたことでひどく動揺したからだ。

「キャサリンさん、別れた男とのことを今付き合っている子に話すのは、ルール違反なんじゃないですか」
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