素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「この石鹸欲しかったやつなんだ。ほんとに良い匂いするね」

 この国では自生しないから珍しい薔薇のような香りがする。

「……アリスは本当にかわいいな。この子が今俺の恋人なの? 神様に感謝する」

 その言葉に吹き出したアリスにゴトフリーは器用にいっぱい作った泡を塗りつけた。そのくすぐったさにくすくすと笑ってふるわせている体を立ち上がらせて、ぎゅっと抱きしめながら体に手を滑らせた。

「柔らかくて気持ち良い……アリス、この石鹸欲しいの? いっぱい買ってあげる。明日買いに行く?」

「ふ、一個で良いよ。ゴトフリー。それにこの石鹸高いんだよ。いっぱいとか言ってたら破産しちゃうから」

 その言葉にゴトフリーは変な顔をした。その泡のついた指でアリスの鼻の頭を押した。

「俺、竜騎士なんだけど。知ってた?」

 その言葉にもう一度吹き出したアリスをやっぱりなんとも言えない顔をして見下ろしている。

「うん。知ってる。ものすごーくカッコ良い竜騎士の一人だよね?」

「……俺に興味ないアリスは知らないと思うんだけど、竜騎士ってひと月で家一軒建つくらい貰えるんだよ?」
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