素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
もちろん男性の体を間近に見るのはこれがはじめてだけど、近衛騎士達は城内部の訓練場で鍛錬を積むため、内勤のアリスは暑い季節に上半身裸の男性を見ることはままあった。でも、こんなに鍛え上げられた美しい体をしている人は、いなかったような気もする。惚れた欲目かもしれない。でもそんなことは、どうでも良かった。その体が今から自分を抱いてくれるなら。
「……今日失恋した奴と比べた?」
切ない目をして問いかけてくるその声音は、嫉妬しているようにも思えてアリスは胸が詰まった。そしてそんな訳がないと、思い直した。あの場所で会ったのが初めての私達に、名前のつけられる関係などない。これはこの夜だけの関係を、盛り上げるためだけの言葉遊びだ。
そうして明日になれば、この人は一夜だけ関係した私のことをすぐに忘れてしまうだろう。
(でも、今夜は私だけのゴトフリー・マーシュだわ)
「……どうかしら。ねえ、早く来て。寒くなってきたわ」
暖炉に暖められた空気から逃げるように奥の寝室に来たから、服を脱ぎ捨てると肌寒く思えたアリスは手を広げて彼を待った。
「……今日失恋した奴と比べた?」
切ない目をして問いかけてくるその声音は、嫉妬しているようにも思えてアリスは胸が詰まった。そしてそんな訳がないと、思い直した。あの場所で会ったのが初めての私達に、名前のつけられる関係などない。これはこの夜だけの関係を、盛り上げるためだけの言葉遊びだ。
そうして明日になれば、この人は一夜だけ関係した私のことをすぐに忘れてしまうだろう。
(でも、今夜は私だけのゴトフリー・マーシュだわ)
「……どうかしら。ねえ、早く来て。寒くなってきたわ」
暖炉に暖められた空気から逃げるように奥の寝室に来たから、服を脱ぎ捨てると肌寒く思えたアリスは手を広げて彼を待った。