素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「俺は風邪引かないから良いよ、今まで言ってなかったけど、この髪すごく好きなんだ。ずっと乾かしてみたいなって思ってたから、邪魔しないでアリス」

 その言葉が嬉しかったけど、やっぱり照れてしまって素直に表せなかった。その代わりに彼の大きな身体をアリスが黙って拭いてあげる。本当に理想的な筋肉のつき方をしている。どれをどれだけ頑張ったらこんなに強靭な体になるのか皆目見当もつかなかった。彼がちいさな頃から死ぬ程努力をしたというそれが形になって表れているのがこの姿なのだろう。

「……ゴトフリーの体って本当に綺麗だよね。私好きだな」

 そう照れて言うアリスを見下ろしながら、ふっと笑った。水気を含んでいた髪はほとんど乾いてしまっているんだけど、ゴトフリーはまだ熱風の出る魔法具を櫛を使いながら当てていた。

「そう? 抱かれたい?」

 自分で聞いたくせに赤い顔をして頷いたアリスを見ると、言葉を失ったように何も言わない。そのなんとも言えない沈黙を耐えきれなくて、アリスは彼の胸を両手で押した。

「もうっ、自分で聞いた癖に黙らないでよ」
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