【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
 それを言って目線を逸らした彼の唇にアリスはキスをした。自分でもやきもち妬きの性格をわかっているけれど、きっと彼は彼なりに同期の同僚を大事にしているのだ。一年に一度しかない行事だし、せっかくだから一緒に楽しみたい気持ちもあるのだろう。悩んだ末の決断だとしても、友達思いの恋人が愛しかった。

「良いよ。皆それぞれタイプが違って、素敵だから、踊れるの今から楽しみだな。エディなんか絶対踊っている間中笑かしてくるよ。私ちゃんと踊れるかな」

 戯けてそう言ったアリスに、やっぱり複雑そうにゴトフリーは言った。

「ありがとう……皆楽しみにしているから、そう言ってくれると嬉しい」

 その話をアリスに受けて欲しかったのか、断って欲しかったのか、自分でもわからない状態みたいだ。彼の心の中は覗けないからどんな状態かわからないけれど、いろんなものが戦っているのかもしれない。話を変えようとアリスは高い鼻をつついた。

「……ゴトフリー、舞踏会の時は竜騎士の正騎士服着るの? あれすごく素敵だよね。早く着てる姿見たいな。あ! いけない。私もドレス買わなきゃ。何色にしようかな。ゴトフリーは何色が好き?」
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