素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
◇◆◇

「……ん、起きた? おはよ。アリス」

 目を開けると間近に彼の可愛らしい顔があって、アリスは驚いた。そして、これは体調が悪くなって人恋しくなってしまった自分が言った我が儘のせいだと思い出す。予定が出る度にいつも渡してくれる彼の勤務表はだいぶ先まで頭に入っているから、今日が休みではないことはわかっていた。

「……あ、あのっ、ゴトフリー、ごめんね。もしかして、今日は仕事……休んでくれたの? 職場の連絡はどうしたの?」

 あれからずっと一緒に寝ていたのなら、伝書屋に言付けることも出来なかったのではないだろうか。無断欠勤になってしまうのではないかと、心配して慌てたアリスの体をぎゅっと抱きしめて、彼は笑った。

「んー、それは気にしなくて良いよ。心の中でアレックに伝えたから、他の竜に伝わってその竜が今勤務中の自分の竜騎士に伝えてくれたんだよ。さっき団長からの了承の連絡も聞いたから、問題ないよ」

 彼はもちろん竜騎士だから、自分の竜が居るのはわかっている。でも、その竜と離れていても話せることはアリスは今まで知らなかった。

「離れていても、アレックと心で会話できるの? 竜騎士ってすごいね」
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