素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「そうだよ。竜と竜騎士は契約したら心が繋がるからね。俺のアレックはおっとりしてるけど、おしゃべりの竜が相棒だと大変らしいよ」

 おしゃべりな竜。その言葉の響きが可愛くて思わず笑ってしまう。

「ふふっ、かわいいね。あのね、前にアレックの名前を思い浮かべてゴトフリーに伝えてって言えば良いって言っていたでしょう? もしかして私の思っていることもアレックに伝わるってこと?」

「そうだよ。俺の大事な恋人だから呼びかけには応えてくれると思う……それにアレックはアリスのこと、すごく気に入ってるよ」

「そうなの? 嬉しいな。じゃあね、今からアレックに呼びかけたらゴトフリーに伝わるのかな……やってみて良い?」

 もちろん、と言った彼をじっと見つめながらアリスは心の中で思った。世界中探しても生息数の少ない竜が、アリスの理解の範疇外にある不思議な生物であることはわかってはいるが、どこか半信半疑だった。

(アレック、アレック。ゴトフリーに大好きだよって伝えて)

 ちょっと間を置いてから彼はすこし驚いたような顔をすると、嬉しそうに破顔した。
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