素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 アリスは数術は試験でも首位かその辺りだったが、潤沢な教育資金をかけられる貴族の子女が通うことも多い高等学院ではそういう社交術を磨く授業も多かった。実家は庶民で特待生でもあったアリスはそもそもの基礎がないからそういったものに慣れるのに苦労したのだ。

「んー、でも礼儀作法とかは、もう必要ないし良いんじゃないかな」

 ゴトフリーはそう優しく言って首を傾げるアリスの頬にキスをした。

「俺は竜騎士だけど、爵位を持っている訳でもないし、結婚してもアリスが社交を頑張らなきゃいけないことはないからさ。万が一功績が認められて騎士爵を賜っても舞踏会には出る時はあるだろうけど、ダンスはそれなりに踊れる俺とだけすれば良いし、晩餐会とかも招待されても行かなければ問題ないよ」

 当たり前のように将来を語るゴトフリーの言葉が嬉しくて、アリスは心の中身がするりと出てくるように口にした。

「……あのね、私、もっとゴトフリーに好かれたいんだけど、どうしたら良いかな?」
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