【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
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「……アリス!」

 三人で城の廊下を歩いている時に後ろから独特な低い声がした。彼氏の声だ、と気がついたアリスは慌てて振り返る。

(え、やばい。信じられないくらいカッコ良い人が走って来るんだけど)

 竜騎士達が式典などで着用する紺色の正騎士服は金と白の複雑な意匠がなされていて、整った顔を持つ彼に似合っていたし、いつも可愛らしい印象を与える蜂蜜色のふわっとした髪の毛は丁寧に撫で付けられていた。物語に出てくる騎士が飛び出て来たかのようなその感覚に驚く。

「アリス、知っていたけど今夜の君は特にかわいい。迎えに行けなくてごめんね……スウィントンさんにリリア。アリスを送って来てくれてありがとう。また今度お礼はさせてもらいます」

 頭を下げたその言葉にダニエルはアリスを送るのは当たり前のことなので、と真顔で言って苦笑しながら手を振るリリアを伴って会場の方へ行ってしまった。
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