【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
 彼には何人かとの過去があることはもうわかっていたことだから、その話を聞いて不思議なくらい嫉妬なんかは湧かなかった。それより心を占めるのは、過去の彼がどれだけ傷ついたのかだ。傷ついてしまった過去は変わらない。彼を今心から愛している自分はそれを埋めるだけのことをしてあげたいと思ってしまう。

(……でも、どうやって?)

 アリスは複雑なステップを踏みながら考えた。最初踊ったナイジェルもエディもリードはすごく上手だ。でも流石にステップを踏むところまでは代わってくれない。考え事をしながらだったせいか、足がもつれてしまう。転びそうになったアリスをエディは両手で腰を持って高くあげると回ってくれた。その行動に周囲から驚いた視線が集まるけど、彼はどこ吹く風だ。アリスは思わず彼を見下ろして笑ってしまった。

 その顔を見ながらゆっくりと降ろすと、エディは頬に軽いキスをくれた。驚いて見上げたアリスに彼は言ってくれる。
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