【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズ】
 軽快な音楽が変わってしっとりとした音色になる。ゆっくりとスローなテンポで踏むステップは誤魔化しがきかない。いつもある眼鏡がなくてどこか物足りないような彼の顔を見ながらアリスは必死で次のステップを踏み出していた。そんなアリスの表情を観察するように見ながらレオは言った。

「……ゴトフリーとどう?」

「ん、うん……なんだか……私と付き合っても不安に思うみたいなんだ。だから、それをどうにかしてあげたいなって……でもどうしたら良いかわからないの」

 他に必死なことがあるアリスは心の中で考えていたそのままを言ってしまった。その言葉を聞いてレオはすこし苦笑した。

「……あいつはね、贅沢なんだよ。自分が元々出来すぎるから、諦めることも出来ずにそれを凌駕する人物の存在にコンプレックスを感じてしまう……それに、昔から女運が悪い理由も、わからなくもないけどね」

 その言葉に首を傾げたアリスに優しく言った。
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