素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
34 泣き笑い
その時、何かの生き物のするどい鳴き声が辺りに響き渡った。高くて、まるで泣いているようなそんな響きの声だ。
「おい、なんだ。あの声は」
「……こんな王都の近くで魔物か? あの声の大きさだぞ。かなり大型なような気がするな……」
戸惑うような男たちの声がして、アリスは、その時、その建物の屋根が無くなった瞬間を目撃した。本当に一瞬の内に暗かった視界が星空へと姿を変えたのだ。何かが吹き飛ばされたような大きな音がして、それからすぐに、激しい威嚇音がする。
ゴトフリーの相棒である緑の竜がその時、現れたのだ。あまりの怒りで我を忘れているのか、いつもの穏やかな可愛らしい様子など今は微塵も感じさせない。空気中に漂うゆらめくような怒りが可視化されたかのような、その竜の様子に男たちは慌てふためいて逃げ出そうとしているのか、ガタガタと物音がする。
燃えるような赤い髪を持つ男性が危なげなくアリスの目の前にすとんと降り立った。すこし驚いた顔をすると安心させるように微笑み、上を向いて言った。
「ゴトフリー、お姫様は無事だ、間に合った、大丈夫だ」
その声に、こんな星空の中でもほの明るく見える、蜂蜜色の髪の男の人が降り立つ。
「……アリス!」
「おい、なんだ。あの声は」
「……こんな王都の近くで魔物か? あの声の大きさだぞ。かなり大型なような気がするな……」
戸惑うような男たちの声がして、アリスは、その時、その建物の屋根が無くなった瞬間を目撃した。本当に一瞬の内に暗かった視界が星空へと姿を変えたのだ。何かが吹き飛ばされたような大きな音がして、それからすぐに、激しい威嚇音がする。
ゴトフリーの相棒である緑の竜がその時、現れたのだ。あまりの怒りで我を忘れているのか、いつもの穏やかな可愛らしい様子など今は微塵も感じさせない。空気中に漂うゆらめくような怒りが可視化されたかのような、その竜の様子に男たちは慌てふためいて逃げ出そうとしているのか、ガタガタと物音がする。
燃えるような赤い髪を持つ男性が危なげなくアリスの目の前にすとんと降り立った。すこし驚いた顔をすると安心させるように微笑み、上を向いて言った。
「ゴトフリー、お姫様は無事だ、間に合った、大丈夫だ」
その声に、こんな星空の中でもほの明るく見える、蜂蜜色の髪の男の人が降り立つ。
「……アリス!」