素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 誰よりも大好きな人の声がして、アリスはまた泣いてしまった。ゴトフリーは横たわっていたアリスを、胸に抱き抱えて優しく囁いた。

「もう大丈夫だよ。皆が一緒に来ている」

 泣いているアリスを痛ましげに見て、猿轡を手早く外してくれた。

「……ゴトフリー、会いたかった」

 感極まって声を出して泣き出したアリスの手足に巻かれた縄を解いて、横抱きにして抱き上げる。

「……ありがとう、リカルド。俺が先に降りて、こんなアリスを見ていたら、全員殺していた」

 その間も、二人を守るように前に立っていたリカルドは、肩を竦めて笑う。

「怖かっただろうから、お前は先に帰って休ませてやれ……絶対に一人も逃さないから安心しろ」

 その言葉に頷いて、ゴトフリーは一度建物の外へ出ようと歩き出す。その間も仲間の竜騎士らしき男の人達が、近くを通り過ぎる度にアリスの頭を撫でたり声をかけてくれて、見つかって良かったと喜んでくれた。
< 274 / 292 >

この作品をシェア

pagetop