素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 彼の独占欲は、きっと自分に自信が持てないことによる不安が大きいことをアリスは今分かってしまっていた。幼い頃からずっと、血が滲む思いで努力を重ねても、どうしても勝てないライバルが居て、そのことが生来負けず嫌いな彼にはとても辛かったのだと思う。いつ、自分の元から周囲の関心がなくなってしまうのか、今までずっと怖くてたまらなかったのではないだろうか。一番にこだわり続けるのは、理由があったのだ。

 だから、こう答えた。

「うん。あのね、私には、ゴトフリーが一番ていうか、唯一で特別なの……順番なんかなくて、私が愛しているのは竜騎士のゴトフリーただ一人だけなんだよ」


◇◆◇


「うわあっ……綺麗……」

 アリスはその可愛らしい声音で感嘆の声を上げた。

 丸い欠けのない満月に照らされた砂漠は、綺麗だった。

 二人で夏季の長期休暇を示し合わせて取り、砂漠のある国サルータに旅行に行こうという計画になった時に、これだけは絶対に譲れないと言ったのが、アレックに乗っての夜間飛行だった。
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