素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる

 本当に幼い頃から集められ、そして訳もわからぬままに競わされその中でも勝ち残ってきた間柄だが、共に竜騎士になるために死にたくなるくらいの辛い試練を幾度となく乗り越えてきたのだ。

 それはもう、血を分けた兄弟ほどの絆が出来ていてもおかしくないくらいに。

「今日もダメだった。書類渡して、はい終わりだった」

 落ち込んでいる様子のゴトフリーにナイジェルは肩をすくめた。

「お前、今まで狙った女の子は全員落としてきたんだろ。その手管を活かせば良いじゃないか」

 確かにそれはそうかもしれないが、どうしてもこれだけは失敗したくないと思うと何を話しかければ良いかわからなかった。

「男嫌いな女の子なんてこれが初めてだし、今回だけは絶対に失敗したくないんだ。あんなに可愛いのに彼氏もいなくて、文官になれるくらい頭も良いなんてきっとあの子だけしかいない……」

 そう頬杖をついて不安そうに自分を見上げるゴトフリーにナイジェルはさとすように言った。
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