素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 レオはすっと窓口から体を離すと、今しがた後ろに居たゴトフリーに気がついたように声をかけた。

「あれ。ゴトフリー、お前団長に呼ばれてたんじゃないのか」

「……もう終わった。レオ、経費の書類は俺が持っていくって言ってるだろ」

「こっちに来る用事があったし、久しぶりにアリスさんの顔が見たかったんだよ。最近はお前しかここに来れてないだろ」

 そしてアリスに手を振るとレオは去って行ってしまう。その姿勢の良い背中を半信半疑で彼に言われた通りにじっと見ていると、ゆっくりと近づいてきたゴトフリーが言った。

「レオと何話してたの?」

「内緒」

「……レオみたいな顔が好きなの?」

 その不貞腐れた面白くなさそうな顔を見上げて本当にレオの言う通りだったと思って笑ってしまったアリスは言った。

「そういう訳じゃないけど、眼鏡かけたインテリって感じでレオさん素敵よね。女性の文官達にも人気あるんだよ」

 思わぬ新たなゴトフリーの一面を見た気がして、アリスははにかんだ。

「ふーん」
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