素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「俺は竜騎士の中では少ないんだけど、四カ国語くらいしか出来ないよ」

 四カ国語くらい、しか? ぽかんとした表情で見上げるアリスにゴトフリーは言った。

「アリスは知らないんだね、竜騎士になる前段階に選ばれるには共用語以外の言語、三カ国語以上習得は必須なんだよ」

 アリスは改めて目の前に居るこの人が幼いころからどんどん幅を狭めていく門を最後までくぐり抜けてきた人であることを実感した。

 もちろん現に黒い竜騎士しか着れない服を身につけている訳だから、彼が竜騎士であることを理屈では分かっていた。けれど、そうなるまでに彼が努力をしていたことを自分は本当の意味ではわかっていない。

「ふ。信じられないって顔しているな、まぁ種明かしすると、他にもやらなきゃいけないことがあるし皆それだけに集中している訳にもいかないから、習得しやすい簡単な言語を選択するケースが多いよ。あとその国に興味を持っているとか」

「サルータ、興味あるの?」

「そうだね、砂漠の中に綺麗な遺跡がたくさんあるらしいよ。新婚旅行でいく?」
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