素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 必死で真面目な顔を作ろうとして失敗しているゴトフリーを睨むとアリスは口を尖らせた。その場を仕切り直すようにちいさくこほんと咳払いをして、目の前でお行儀よく前足を揃えて座っているアレックに笑いかけた。

「えっと、アレック? なんだか可愛い、ね」

 主に似ているのか、いかにも穏やかで優しそうな雰囲気を持つ緑竜は首を傾げて二人を見下ろしていた。キュルっと可愛い鳴き声がして、アリスに顔を近づけた。

「アリス、顔を撫でてあげて。アレックはそうされるのが好きなんだ」

 うん、と頷いて頬を撫でると冷たいような温かいような不思議な触感だった。ゆっくりとアリスに撫でられてキュルキュルと嬉しそうに喉を鳴らすアレックのあまりの可愛さに、アリスは思わずその大きな顔に抱きついて頬擦りしてしまった。

「……アリス、ダメだよ」

 慌ててゴドフリーがアリスの手を引いた。

「え? ごめんなさい。これって竜にしちゃダメなことだったのかな?」
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