素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
◇◆◇


 ゴトフリーとアレックがアリスを連れてきてくれたのは、深い森の中にある鏡のような水面の美しい湖だった。その近くの開けた草原に降り立ち、先に飛び降りたゴトフリーにアレックの背から降ろしてもらうと、アリスは普段なら絶対に見ることの出来ない光景に歓声をあげた。

「アリス、気に入った?」

「うん、湖綺麗ね。ここでお昼ご飯食べるの? すごく素敵」

 興奮しながら目を輝かせるアリスに頷きながら微笑むと、ゴトフリーは荷物から出した大きな敷布を暖かな陽が当たっている場所に広げた。アレックはその様子を見て、一度首を傾げると、方向を変えて尻尾を振りながら、森に向かってとことこと歩いて行ってしまう。

「あれ? アレックはどこにいくの?」

「あいつ、陽だまりの中で一匹で昼寝するのが好きなんだ。遠くには行かないよ」
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