素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 最近ゴトフリーがその言葉を言うのをずっと待っていたアリスは、突然のチャンスに内心すごく慌てた。

「いっ……」

「い?」

 不思議そうに顔を覗き込んできたゴトフリーのその整った顔を意識してしまったアリスは、目をぎゅっと閉じてその口は言おうとしていた反対の意味の言葉を紡いでしまう。

「いや」

「……あ、そっか。なんかちょっといけそうな雰囲気だから期待しちゃった。まぁそうだよな」

「そ、そんな訳ないでしょ」

 肩を竦めてふふっと微笑んだゴトフリーを見ながらじわっと涙が浮かびそうになった。

(いいよって、いいよって言おうとしたのに……ほんと私ってバカ……)

 ゴトフリーの用意してくれたお弁当は本当に美味しくて、そこから見える景色も綺麗でロマンチックで、アリスはずっと憧れていた彼とこんな風に過ごしている自分が本当に信じられなかった。

「あのね、アレックね、すごく可愛いね。竜騎士って自分で選んだ竜に認めて貰ったら契約出来るんでしょう? ゴトフリーもやっぱりあの可愛さが良かったの?」
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